
化粧品OEMは正しく準備し戦略を押さえれば、小規模や個人でも成功できます。売れないパターンの多くは準備不足が原因です。成功するには市場調査と販売戦略が欠かせません。製造そのものは容易でも、売れる仕組みをもたなければ結果が出にくいのです。これから挑戦する方は準備不足を避けることが最大のポイントです。この記事で紹介する7つの失敗要因を確認して、成功への一歩を踏み出してください。
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1. 商品企画や競合調査が不十分で差別化できていない
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、他社プランドの品を製造専門企業が代わりに作ることです。陥りがちな最大の誤りは「すでに市場にある商品と同じでは売れない」という原則を軽視することです。
化粧品市場は競争が激しく、単に品質がよいだけでは埋もれてしまいます。OEMで成功するためには、競合がまだ満たせていないターゲットの潜在的な悩みを解決できる、明確な差別化要素が必須です。
失敗の具体例として「大手ブランドと同じ成分を使えば安心」という安易な考えで企画を立てた結果、価格や知名度で負けてまったく手に取られないことはよくあります。成功者は競合の徹底分析に余念がありません。
たとえば、Amazon、楽天市場、アットコスメなどで競合商品の低評価レビューを徹底的に分析します。そこには、消費者が本当に求めている「ニーズの隙間」が隠されています。企画の鋭角化を図ることが必要です。
「オールインワン」ではなく「30代後半の産後女性のホルモンバランス変化による乾燥に特化したオールインワン」のように、ニーズの隙間を狙った鋭い企画を立てましょう。
2. コンセプトやターゲット層がぼやけている
誰に向けた商品かが明確でないと、販路や価格も定まりません。ペルソナが曖昧だと「響くメッセージ」が作れず、SNSでも埋もれてしまうからです。ペルソナとは、ターゲット顧客を象徴する架空の個人モデルのことです。
単なる「20代女性」という性別・年代の括りではなく、あたかも実在するかのように具体的で精巧な設定にすることで、マーケティングの精度を飛躍的に高めます。
「20代女性の敏感肌向け」と絞るのと「全世代誰でも使える化粧水」では、後者の方が売れにくい傾向があります。また、コンセプトの確立が成功のカギといえるでしょう。
「この商品は誰のために、どんな課題を解決するために存在するのか」を一文にまとめて端的で明確にいえる状態にし、すべてのデザインや販促活動の軸とします。まず「この商品は誰のために存在するのか」を一文いえる状態にしましょう。
3. パッケージデザインが消費者心理を捉えていない
現代の購買行動において、デザインは「商品の第一印象」と「拡散力」を左右する最大の要因です。消費者の多くは、店頭やECサイト、とくにInstagramやTikTokといったSNS上での「可愛い!気分が上がりそう、試してみたい」と思うような投稿は購入を後押しします。
見た目の可愛さは、機能と同じくらい大切です。失敗例を挙げるとターゲット層がもっとも利用するSNS媒体、例として若年層ならTikTok、ミドル層ならInstagramやYoutubeなどでの見え方を考慮しないと売れません。コスト優先で安価なデザインを選定してしまうと、注目が集められるような「SNS映え」をしないためです。
SNS映えするような「持ち運びたい」デザイン、たとえばターゲットが「友人の前で思わず持ち歩きたくなる」「デスクに置いておきたくなる」と感じる、情緒的価値の高いデザインを意識して企画します。
ブランドロゴ、カラーパレット、フォントがターゲットのライフスタイルに合致し、ECサイト全体で世界観が統一されているかを確認します。
4. OEMメーカーの選定ミス
自社の目的に合わないメーカー選びは、のちの商品力と製造コストを決定づけるため失敗の原因になります。メーカーには得意分野や強みがあり、それを無視すると製造段階からつまずくからです。
それぞれ「スキンケアが得意なメーカー」「小ロットに強いメーカー」など特徴が異なり、選定ミスは商品力不足につながります。コストを抑えるために安さだけを理由に選んでしまうと、自社で作りたい商品が納得いくレベルに達しないこともあります。
過去の実績を精査し、自社のニーズとの適合性を見極めてください。契約前にOEMメーカーの過去の実績やサポート体制だけでなく、試作回数の制限や衛生管理体制、原料調達のルートと追加発注の対応まで比較検討しましょう。
5. サポート不足のOEMメーカーに依存
とくに化粧品OEM初心者が失敗する大きな要因は、製造後の販売・マーケティングに関する支援体制が薄いメーカーを選んでしまうことです。OEMメーカーはあくまで「製造」のプロであり「販売戦略のプロ」ではありません。
多くのメーカーは納品後のマーケティング支援や販促提案がなく、初心者が孤立してしまいます。成功するためには、専門家からのアドバイスが必要です。
企画から販売戦略まで一貫して支援するODM(Original Design Manufacturing)メーカーを選ぶことで、コンセプト設計や市場導入計画についてプロの提案を受けられ、成功率が飛躍的に高まります。
初めてOEMに挑戦する場合は「製造したら終わり」ではなく「伴走型」のサポート体制(市場調査、コンセプト企画、販促物のデザイン提案など)をもつ会社を選ぶのがもっとも確実な成功ルートです。
6. 商品を知ってもらう施策が足りない
どれほどよい商品を作っても、認知されなければ、それは市場に存在しないのと同じです。商品の売上は「認知度 × 購買率」で決まります。作ったあとに「どう届けるか」という販売戦略の準備が製造と同時並行で行われていないと、在庫だけが残る悔しい結果になります。
納品後に慌ててECサイトを作り始めてしまうと、SNS情報発信も遅れてしまい消費者に認知してもらうまでに時間がかかってしまいます。商品化と同時に具体的なマーケティングプランを完成させることが大切です。
インフルエンサーを活用した口コミやSNSでの情報発信商品発売前から設計や準備している企業ほど、立ち上がりが早く成果が出やすくなるでしょう。
7.価格設定や利益設計を間違えている
適切な価格戦略がなければ、売れないか、売れても赤字になるという致命的なリスクを負います。原価率、販売や管理費、広告費といった詳細なコストを踏まえずに価格を設定すると、競合に勝てず、手元に利益も残りません。たとえば原価率30%の商品を市場平均より高く設定すると売れず、逆に安売りしすぎると利益が出ません。
価格設計は、原価・競合・顧客心理の三要素がカギとなります。通常20〜30%を目安とした原価率を踏まえて、適当な粗利率を確保し、競合商品の価格帯を調査、ターゲットが「この価格なら払ってもよい」と感じる許容価格帯を見極めてください。
まずは、シミュレーションで「販売数×利益率」を算出し、現実的に黒字化できる価格帯を見極めましょう。
まとめ
化粧品OEMで成功を掴む個人や小規模ブランドの共通点は「製造」ではなく「準備」をもっとも重視していることです。彼らは、今回ご紹介した7つの失敗要因を一つひとつ丁寧に潰して「市場調査 → ターゲット明確化 → 価格設計 → 販売戦略」というプロセスを徹底しています。OEMは正しく準備すれば、個人や小規模でもアイデアを形にできる強力なビジネスツールです。ぜひこの記事にあるポイントを活用して、まずは「小さく試す」一歩から、失敗の確率を最小限に抑えた挑戦を始めてみてください。