
化粧品を製造する際、安全性や品質を確保するための基準が存在します。その中でも重要なのが「化粧品GMP」です。これは、化粧品の製造において適正な管理をおこなうための基準であり、消費者に安全な化粧品を届けるために欠かせません。今回は、化粧品GMPとはどのようなものなのか、医薬品GMPとの違いなどについて解説していきます。
化粧品GMPとは
化粧品GMPを解説する前に「GMP」の意味を紹介します。GMP(Good Manufacturing Practice)とは「適正製造規範」と訳されます。
GMPでは、高い品質と安全性を保つために、手順を作成、記録を残し、証拠にすることを目的としています。GMPを定める際には「人為的な誤りを最小限にすること」「汚染および品質低下を防止すること」「高い品質を保証するシステムを設計すること」のGMP三原則を抑える必要があります。
化粧品GMPの項目
化粧品GMPは、化粧品を安全に製造し、一定の品質を確保するために設けられました。この基準は、日本化粧品工業連合会がISO22716という、化粧品業界の国際規格に則って制定した自主基準です。
化粧品GMPが適用される製品は、化粧品、医薬部外品(新指定・新範囲医薬部外品を除く)、口中清涼剤、殺虫剤(忌避剤を除く)、殺そ剤、衛生用綿類などです。これらの製品の生産、管理、保管、出荷が管理対象であり、研究・開発行為、最終製品の物流は適用外になります。
化粧品GMPの基準には、17項目(適用範囲・用語および定義・従業員・構造設備・機器・原材料および包装材料・生産・最終製品・品質管理試験室・規格外品の処理・廃棄物・委託・逸脱・苦情及び回収・変更管理・内部監査・文書化)あり、この項目の基準を満たす必要があります。
医薬品GMPとは何が違う?
医薬品GMPとは、医薬品の製造に適用される基準です。医薬品は人体に直接影響を与えるため、化粧品GMPよりも高度な安全性と品質管理が求められています。
医薬品GMPをもとにして作られたのが、化粧品GMPです。以下に、両者の具体的な違いを解説します。
化粧品GMP・医薬品GMPの具体的な違い
化粧品GMPと医薬品GMPの違いは、主に規制の厳しさや管理対象になります。たとえば、医薬品GMPでは原材料の調達、品質管理、出荷前の検査などの過程にも基準が設けられています。
また、医薬品GMPは法制化されており、これを守らなければ医薬品を製造できません。しかし、化粧品製造の場合は化粧品GMPは自主基準なので、医薬品GMPのような法的拘束力はありません。
化粧品GMPと医薬品GMPは言葉が似ているものの、性質がまったく異なるのです。原材料の調達から品質管理、出荷前検査といった過程にまで基準が設けられている医薬品GMPに対し、化粧品GMPについてはあくまでも自主基準であることから、17項目の一定の項目さえ満たしておけば問題ありません。
もちろん、基準を厳しくしてチェック体制を強化することで、より品質の高い安全な化粧品製造をおこなうことも可能です。ただ、コストや納期との兼ね合いもあることから、必要に応じて判断することが大切です。
化粧品OEMを化粧品GMP取得企業に依頼するメリット
ここまでの開設を読んで「化粧品OEMの依頼先はどこがよいか」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。ここでは、化粧品OEMを化粧品GMP取得企業に依頼するメリットを解説します。
高品質な製品を提供できる
まずは、高品質な製品を提供できる点があります。化粧品GMPを取得している企業では、製造プロセスが厳格に管理されているため、品質の高い製品を安定して提供できます。
また、生産効率や品質改善により、不良品が少なくなるため、クレームや無駄な経費を削減可能です。また、安全で高品質な製品を販売できるので、消費者からの信頼も獲得でき、ブランドのイメージ向上も期待できることでしょう。
海外市場への展開もスムーズに進められる
次に、海外市場への展開もスムーズに進められる点が挙げられます。欧米や韓国、カナダなど諸外国は、世界基準のISO22716を取り入れている国が多いです。
化粧品を輸出する際には、GMP証明書を求められることもあります。日本の化粧品GMPはISO22716に則っているため、国際規格に適合でき、スムーズに海外進出を実現できます。
まとめ
化粧品GMPは、化粧品の適正な管理をおこなうための基準であり、消費者に安全な化粧品を届けるために欠かせないものです。生産、管理、保管、出荷に関してさまざまな基準をクリアする必要がありますが、化粧品を安全に製造し、一定の品質を確保できるようになります。化粧品GMPは自主基準なので、化粧品製造に医薬品製造の医薬品GMPのように法的拘束力はありません。ただし、化粧品GMPを取得している企業に化粧品OEMを依頼することで、高品質で安全な商品を提供できます。このことには、コスト削減につながるなどのさまざまなメリットがあります。化粧品GMPに適した製品であれば、海外進出もスムーズに目指せるので、他社との差別化も叶うかもしれません。