
化粧品を販売・宣伝する際には「薬機法」を遵守する必要があります。薬機法に違反すると、行政指導や罰則の対象となる可能性があるため、正しい知識を身につけておくことが大切です。そこで、今回は、薬機法の基本的な内容と、化粧品の宣伝で避けるべきNGワードの具体例に加え、避けるために注意すべきポイントについて解説します。
薬機法とは?違反するとどうなる?
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品や医療機器、化粧品、医薬部外品などの品質や安全性を確保するために、製造、販売、広告などについて細かく定めた法律です。消費者の健康を守るため、化粧品の広告や宣伝は、この薬機法によって厳しく規制されています。
違反するとどうなる?
薬機法に違反すると、軽微な場合は行政指導・改善命令が入ります。悪質な違反と判断された場合は、広告の掲載禁止や罰則(2年の懲役・200万円以下の罰金またはその両方)を受けたり、売上に対する4.5%の課徴金を課せられたりする可能性があります。
また、違反が公になれば企業の信頼が落ち、売上に悪影響が出てしまうかもしれません。
SNSでの宣伝について
とくに、InstagramやX、TikTokといったSNSでの宣伝はリアルタイム性が高く、薬機法に違反しやすいので注意が必要です。SNSでの宣伝の場合、チェックする時間がなかったり、そもそもチェック規定がなかったりするケースもあるでしょう。
しかし、どのような媒体であっても、法律の対象であることから、しっかりと確認することが大切です。化粧品を取り扱う企業や個人事業主は、薬機法を遵守し、適切な表現を心がける必要があります。
薬機法で規制されている「NGワード」とは
化粧品を宣伝するためには、法律で禁止されている表現を把握したうえで、規制されている言葉を知っておく必要があります。しかし、薬機法に注意を配りすぎて、単調な表現になってしまうと宣伝効果が減少してしまう可能性があります。
そのため、使用してはいけない言葉を避けながら、商品の魅力やポイントを紹介できる表現を見つけましょう。
安心・安全を保証する表現
具体的には「100%安全性が証明されています」など、逸脱した表現や消費者の誤解を招く表現は使用してはいけません。化粧品はあくまで皮膚や毛髪を清潔にし、健やかに保つことを目的としており、過度に安全性を保証する表現は禁止されています。
「治る」「治癒」の表現
化粧品は、治療薬ではないため、治る・治癒といった表現は避ける必要があります。
たとえば「シミが消える」「ニキビが治る」といった表現はNGです。適切な表現としては「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」「肌を整える」などが推奨されます。
効果の過大な表現
化粧品の効果には個人差があるため、特定の数値を用いたり「即効性がある」「改善できる」と断言したりする表現は使用を避けるべきです。代わりに「しっとり感が続く」「肌のハリ感をサポート」などの表現を使いましょう。
過大な表現の関連では「最高の効果・世界一の効果」なども規制されています。
「浸透する」の表現
化粧品には「浸透する」という表現もありますが、この表現にも注意が必要です。「角質層より奥深くに浸透」といった表現はNGです。
商品の効能効果を逸脱しない表現としては「角質層に浸透」や「角質層のすみずみまで」といった表現が適切です。
NGワードを避けるために注意すべきポイント
薬機法に違反しないためには、どのような表現を使ってはいけないかをしっかりと確認する必要があります。ここでは、とくに注意すべきポイントを見ていきましょう。
社内の教育体制と管理体制の整備
まずは、社内の教育体制や管理体制をしっかりと整え、商品に関わる社員全員がガイドラインを理解し遵守できるようにすることが大切です。これにより、広告や宣伝活動での法的リスクを減らすことができます。
インフルエンサーへの法的説明
商品の紹介をお願いするインフルエンサーへ薬機法の内容を説明し、理解してもらう必要もあります。インフルエンサーが適切な表現を使用することが求められますので、事前に法的なルールを共有しましょう。
薬機法チェックツールの活用
禁止されている表現を避けるために、薬機法チェックツールで広告を確認することも大切です。さまざまなツールがあるので、チェックの対象、内容など自社に合ったものを選びましょう。これにより、規制に適合した広告が作成できます。
専門家による監修
チェックツールだけでは不十分なこともあるので、法律に詳しい薬機法管理者や弁護士などの専門家に監修してもらうことも必要です。専門家に監修を依頼することで、法律に違反せずに、化粧品の魅力を伝えることができます。
まとめ
消費者の健康を守るために制定された薬機法は、違反をすると行政指導や罰則・追徴金などさまざまなペナルティが発生します。法律を遵守しながら化粧品を宣伝するためには、使用してはいけない言葉を確認する必要があります。表現に注意するために、社内教育を徹底させることがポイントです。さらに、商品を紹介するインフルエンサーなどにもしっかりと説明しなければなりません。商品にかかわる社員への教育や薬機法チェックツール、専門家の監修体制などを整えて、化粧品の魅力を最大限に引き出しましょう。