
自社の化粧品を製造・販売したいと考えた際、化粧品OEMの手法を検討する場合もあるでしょう。今回は、化粧品OEMに関して、費用感などのよくある質問を紹介します。化粧品OEMの活用を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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化粧品OEMとは
化粧品OEMは、化粧品の製造に関するビジネスモデルのひとつで、自社ブランドの化粧品の製造を、OEMメーカーと呼ばれる製造業者に一貫して委託することを言います。
OEMは、Original Equipment Manufacturingの略語で、他社ブランドの化粧品などの製品を、メーカーが製造することを意味しています。
製造を完全に委託するため、自社で化粧品の開発や研究をする必要がなく、製造のための設備も用意する必要がないため、自社ブランドの化粧品を、設備投資せずに製造・販売が可能になる点がメリットです。
化粧品の製造に際しては、化粧品製造業許可が必要です。そして、製造した化粧品を販売する際には、化粧品製造販売業許可を取得しなければなりません。どちらの許可申請も煩雑で時間がかかり、さらに、製造や販売に関しての製品に対する責任も発生します。
また、薬事法などの関係法令に対する知識も必須となり、社員に対する研修が必要となったり、詳しい人物を雇用するなどのコストの発生も想定されます。
化粧品OEMメーカーに依頼すれば、自社での申請や管理が不要となるため、製品の販売にのみ集中することができるメリットもあります。
また、化粧品OEMを活用することで、流行や市場動向に沿った製品を制作できるという魅力もあります。OEMメーカーが保持している化粧品についての専門知識や、市場動向や消費者の嗜好の流行性など、常に最新の情報を把握しているため、流行に合わせた製品づくりが期待できるのが特徴です。
化粧品OEMにかかる費用
化粧品OEMをメーカーに依頼する場合、発注する製品のロット数により、費用相場が異なることが一般的です。ロット数が増えた分、製品の単価が安くなります。
製品数が500~1,000個の「小ロット生産」の場合、初期費用として約50~100万円、製品単価が約500円~1,500円が目安です。
製品数が5,000~10,000個の「中ロット生産」の場合、初期費用として約100~300万円、製品単価が約300円~1,000円が目安です。
製品数が10,000個以上の「大ロット生産」の場合、初期費用は300万円以上、製品単価が約200円~500円が目安です。
また、生産するロット数のほかにも、製品の種類や、OEMメーカーの規模などにより、どのような契約内容になるのかが幅広くなり、費用が大きく異なることもあります。化粧品に使用する成分などの特殊な処方や、オリジナルのパッケージデザインを採用したりすることで、追加の費用が発生することもあるので、契約内容をよくチェックしておくと良いでしょう。
化粧品OEMの単価設定
化粧品OEMの製品の単価は、ロット数、容器や使用する資材、製造される製品の中身(バルク)という要素と、その他の条件によって決定します。さまざまな要素を複合的にまとめながら、メーカーと交渉を進めて、製品の単価が決められます。
ロット数
ロット数とは、同種の製品を生産する際の「最小単位」として使用されている用語です。ロット数が増えると、製品の1つあたりの価格が安くなりますが、新商品の発売や、新規参入する場合などでは、売れ行きの見込みを想定するのが難しいため、初期費用の少ない、小さなロット数でスタートするのが一般的です。
容器などの資材
製品を入れる容器や資材も、化粧品OEMの単価に影響を与えます。
容器やキャップの素材や、化粧箱の有無、印刷する部分が必要かどうかなど、こだわりやデザイン性などにより、付加する部分が増えると、その分単価も上がります。
バルク(製品の中身)
バルクと呼んでいる製品の中身が、高価な成分が入っているかどうかなどによって、単価が上がることがあります。
原材料の価格や配合量によって価格の変動があるほか、新規の処方か既存の処方かによっても、価格が変わります。
その他の条件や要素
その他に、製品のデザインや、充てんや梱包にかかる費用、製品の輸送費などが計上されることがあります。
ボリュームディスカウントが採用される
ボリュームディスカウントとは、製品などの購入数を増やすほど、製品1個あたりの単価が安くなる仕組みのことです。
化粧品OEMを活用する際は、ボリュームディスカウントの仕組みが採用されます。依頼する製造物のロット数が大きくなるほど、製品の単価を安く抑えることが可能です。
大量のロット数での発注により、原材料費の仕入れ価格が安くなることや、製造にかかる効率化や、固定費のあん分などが期待でき、ボリュームディスカウントが実現するのが一般的です。
ロット数を増やして単価を抑えることはできますが、初期費用や、在庫リスクなどを勘案して、やみくもに大量発注しないよう、最適な数量を検討することが大切です。
パッケージのデザイン費用
化粧品OEMを利用してパッケージなどの容器のデザインを委託する場合、デザイン費用として費用が発生します。
デザイン内容や、デザインを考案する業者によっても異なりますが、相場としては基本的なデザインの依頼で、10万円から30万円程度が一般的です。趣向を凝らしたデザインにしたいときや、有名なデザイナーに依頼したい場合などは、費用が高くなることもあります。
また、製品に合わせてロゴを制作依頼する場合は、ロゴのデザイン費用として5万円から10万円程度が相場です。さらに、商品に化粧箱をつけたい場合は、化粧箱のデザイン費用として10万円から30万円程度の相場で、費用が発生すると見込んでおくと良いでしょう。
デザインの内容で、特殊な加工を施したり、限定した素材を使用したい場合など、特殊な対応が必要となったときにも、追加のデザイン費用が発生することもあります。
コンセプトをはっきりとイメージさせながら、どの程度までこだわったデザインにするかの線引きをイメージし、デザインにかける費用の予算を立てると良いでしょう。
化粧品OEMの成功のためのポイント
化粧品OEMを依頼する場合、「売れる製品づくり」を意識し、ターゲット層やブランドイメージを確立し、製品開発に一貫性を持たせて発注するようにしましょう。
特に、化粧品OEMで新規参入する場合には、売れ行きの見込みを想定するのが難しく、判断を誤れば、大量の在庫を抱えることになりかねません。
ターゲット層やブランドイメージを確立すれば、コンセプトが明確になり、必要な要素を絞り込めるため、総合的なコストを抑えられるでしょう。OEMメーカーを選定する際は、考察したコンセプトに合致するかどうかという点や、メーカーの実績や、製品の品質を考慮しながら、慎重に進めましょう。
信頼できる化粧品OEMメーカーを選定することも大切です。品質管理が不適切であったり、メーカー側の技術スキルに欠陥があると、製品に対する不安感が生じ、安心して依頼できなくなるというトラブルが発生することもあります。
必ず事前調査を実施し、信頼できる企業であるかどうかを慎重に見極めて選定することが大切です。
また、費用については、複数の化粧品OEMメーカーから見積を取り、金額やサービスなどを比較しながら、価格交渉を進めていくことも大切です。製品の単価を抑えるのか、総合的なコストを抑えるかなど、費用面での優先順位を意識しながら交渉すると良いでしょう。
まとめ
今回は、化粧品OEMに関して、費用感などのよくある質問を紹介しました。自社で化粧品を製造・販売するよりも、リスクを押さえながら低コストに製品を制作できる化粧品OEMですが、コンセプトを明確にし、依頼する化粧品OEMメーカー選びが重要となります。化粧品OEMを活用したいと考えている人は、今回の記事を参考に、まずはメーカーに問い合わせてみましょう。